ヤキトリ・ミーツ・サンド
「SHIGERU KITCHEN」は柳橋の路地裏にある小さなサンドイッチ専門店です。この町で50年以上続く老舗焼き鳥店「柳ばし 鳥茂」のサブブランドとして、2017年11月にスタートしました。
焼き鳥屋がつくるサンドイッチですから、看板メニューは「つくね」。
牛、豚、鶏の挽肉と玉ねぎなどで仕立てたジューシーな鳥茂のつくねを、浅草・田原町の老舗ベーカリー「パンのペリカン」の食パンでまるごと挟み込み、水を一切使わず継ぎ足している秘伝のたれと共に、豪快にまるごとサンドしました。
また、すべてのサンドイッチに、鳥茂の隠れた逸品・ぬか漬けを刻み込んだタルタルソースを使用。ほのかな酸味がクセになる仕上がりとなっています。
大人から子どもまで、だれでも気軽に味わえるサンドイッチで「鳥茂」の味を知っていただけたら幸いです。
「パンのペリカン」とは?
昭和17年創業の老舗ベーカリー。「毎日食べられる、飽きの来ない味」をモットーに、濃厚で食べ応えのある美味しい食パンと、ほんのり甘いロールパンの2種類だけを提供しています。さまざまなメディアからとりあげられる下町、浅草・田原町の人気店です。
守ってきた味を、あたらしく
「鳥茂」の先代(私の父)は、典型的な下町の頑固おやじでした。
新しいことを始めるのは、大嫌い。だれかが意見すれば「うるせえ!」と罵声を返すのが当たり前。
お店のお酒の種類を増やすことはもちろん、メニュー開発なんて、もってのほか。
そんな頑固者だったのです。
そのため、かつての「鳥茂」は、よくいえば〝伝統を重んじた〟。率直にいえば〝ワガママ〟な商売をしていました。それは高度経済成長からバブルにかけてのいい時代のたまものです。それでもお客さんが暖かく見守ってくれていました。
しかし、時代も変わり、商売のかたちも昭和から令和にかけて様変わりしました。
馴染みの商店も次々に閉まり、町の景色も20年前とは大違いです。
老舗だからといってあぐらをかいてはいられない……。
変化に適応していかなくてはいけないのは、老舗だって例外ではないはずなのです。
先代が変化を嫌うなら、誰かが変えるしかない。
頑固おやじが大切に守ってきた「鳥茂」の味を、
あたらしいかたちでより多くの人に愛してもらいたい。
「SHIGERU KITCHEN」は、そんな想いのもと生まれました。
足さない。引かない。
先代には知らせずにオープンに至った「SHIGERU KITCHEN」。
しかし、その根底には50年以上続く老舗のプライドと哲学があります。
「鳥茂」の教えは〝足さない。引かない。〟
むやみにメニューを増やしたり、流行りの味を足すようなことはしません。
オールタイム・ベストな一品を、つねに提供することを心がけています。
それは自分たちが心から納得して、いつ出しても恥ずかしくないものを提供したいから。
「SHIGERU KITCHEN」もその伝統を受け継いで、かぎられたメニューしか置いていません。
サンドイッチも、しぼりにしぼった数種類。つけあわせは、決まった一種類だけ。
試行錯誤を重ねて、ずっと変える必要がない最高の味を追求しました。
「鳥茂」の教えは、もうひとつあります。
それは〝地産地消〟。地域のおいしいものを、メニューの軸にすることを心がけてきました。
「SHIGERU KITCHEN」で使用されているのも、下町のおなじみの味。
食パンは前述した浅草・田原町の「パンのペリカン」、珈琲は蔵前の「コフィノワ」の特製ブレンドを使用しています。
創業時から取引先を変えなかった義理堅かった先代。この教えもまた、守り続けています。